2026.09.08

築22年の住まいを、次の100年へ|金沢市注文住宅 大規模改修

新築から22年。

私たち観田創建で建築させていただいた、自然素材と泥壁を大切にした金沢市の住まいを、今回大きく改修させていただくことになりました。

22年前も、自然素材を使い、永く大切に暮らしていただける住まいを目指して設計しました。

そして22年が経った今。

良いものは残しながら、現在の技術でさらに性能を高め、これから50年、100年と住み継いでいける住まいへ。

今回の大きなテーマです。

22年前の自然素材に、現在の断熱・気密性能を

まず取り組んでいるのが、断熱・気密性能の大幅な向上です。

現在は天井部分の断熱・気密工事の真っ最中。

既存住宅だからこそ難しい部分もありますが、一つひとつ納まりを確認しながら、現在のGX志向型住宅を目標とした高い省エネ性能へ近づけていきます。

夏は涼しく、冬は暖かく。

そして少ないエネルギーで快適に暮らせる住まいへ。

22年間で進化してきた環境工学や断熱・気密の技術を、この住まいにもう一度重ねていきます。

繰り返す大地震も見据えた住まいへ

もう一つ、大切なのが耐震性能です。

能登半島地震を経験した私たちにとって、単に一度の大地震に耐えるだけでなく、繰り返す大きな地震に対して、いかに住まいとご家族を守るかは、これからますます大切なテーマだと感じています。

既存の構造をしっかり調査し、必要な部分を補強しながら、次の世代にも安心して受け継いでいただける住まいを目指します。

22年間使った杉の床は、捨てずに蘇らせる

そして私が楽しみにしているのが、22年間ご家族と一緒に時を重ねてきた杉の無垢フローリングです。

新しい床に張り替えるのではなく、表面を丁寧にサンダー掛けして、もう一度美しく蘇らせます。

傷も、色の変化も、22年間暮らしてきた証です。

古くなったから取り替えるのではなく、良いものは手を入れながら使い続ける。

自然素材だからこそできることですね。

そして今回、お客様が念願だった**「緑に囲まれて暮らす住まい」**へ。

窓から緑を眺め、季節を感じ、自然の光や風を楽しみながら暮らす。

22年間のご家族の思い出と、現在の技術、そしてこれからの夢を重ねていく。

新しくするためのリノベーションではなく、良いものを未来へつなぐためのリノベーション。

完成が今からとても楽しみです。

2026.09.04

秋の気配と、次の30年への小さな一歩

秋雨前線の影響でしょうか。
昨日から金沢もずいぶん涼しくなってきました。

夜になると聞こえてくる虫の声も心地よく、季節が少しずつ秋へ移っていることを感じます。

事務所のオブジェも秋仕様へ。

ほんの少し季節のものが加わるだけで、空間の雰囲気が変わり、なんだか心までウキウキしてきます。

夏の「情熱」から、秋の「知性と感性」へ

本を読んだり、美しいものに触れたり、自然の小さな変化に気づいたり。

そんな時間から得られるものも、住まいを設計する私たちにとって、とても大切な学びだと思っています。

観田創建も今年、おかげさまで設立30周年を迎えることができました。

大きなことを急に変えるのではなく、これまで大切にしてきたものを守りながら、新しいことにも少しずつ挑戦していく。

次の30年に向けて、今日も小さな一歩を。

実りの秋となるよう、スタッフみんなで楽しみながら歩んでまいりたいと思います。

2026.09.02

視線を遮りながら、風を感じる|石川県金沢市注文住宅増築に先立つオーダーフェンス

これから始まる増築工事に先立ち、オーダーで計画した木製フェンスを施工しました。

「周囲からの視線はしっかり遮りたい。でも、大好きな風は感じて暮らしたい。」

プライバシーを守ろうとすれば、どうしても壁は閉じていきます。

一方、風を取り込もうとすれば、ある程度は開かなければならない。

一見すると矛盾するような二つのご要望ですが、そこをどう両立させるかです。

そこで今回は、人の目線の高さと風の通り道を一枚一枚の板の配置を計画したオーダーフェンスとしました。

柱には、雨や湿気による腐食の心配が少ないアルミ製の柱を採用。

そこに、屋外でも高い耐久性をもつ天然木のセランガンバツを組み合わせました。

ただ目隠しの塀をつくるのではなく、

見せたくないものは遮り、心地よい風は通す。

室内から眺めたときの景色や光、風の流れまで考えて、住まいの一部として設計しています。

今回は増築後では施工が難しくなるため、建物の工事に先立ってフェンスを完成させました。

住まいづくりでは、「こちらを優先すれば、こちらは諦めなければならない」ということが少なくありません。

でも、そこでどちらかを簡単に諦めるのではなく、どうすれば両方を叶えられるだろう。

そんなことをお客様と一緒に考えるところから、そのご家族だけの住まいが生まれてくるのだと思います。

2026.08.28

豪雨災害|石川県注文住宅新築

今回の豪雨災害で、4年前に新築させていただいたお住まいが床下浸水の被害に遭われました。

基礎の換気部分から水が入り、床下は一時水浸しとなり、土台も約3cmほど水に浸かった状態だったとのことです。

翌日、私たちがお伺いした際には幸い水は引いていましたが、床下には泥が残り、防湿シートの上にはまだ多くの湿気が残っていました。

計測すると、
床下温度24℃、湿度89%。
床下の湿気をとらねばなりません

まずは床下の温湿度を確認し、大型除湿機とサーキュレーターを4台搬入。

まずは現場スタッフ5名で床下に入り、表面に残った泥を砂利とともに床下一面すべて撤去させていただきました。

これから除湿機と送風機を使い、しっかりと床下を乾燥させていきます。

来週には再度、
床下の温度・湿度、
そして土台など木材の含水率を計測し、乾燥状態を確認する予定です。

今回、床上まで浸水しなかったこと、そして下水などによる汚染の影響が比較的少なかったことは、本当に幸いでした。

家は、完成してお引き渡ししたら終わりではありません。

災害や予期せぬ出来事が起こった時にこそ、
「建てさせていただいた住まいを、これからも守っていく」
という私たちの役割があると思っています。

一日も早く安心して普段の暮らしに戻っていただけるよう、最後までしっかり確認してまいります。

2026.08.22

お客様との合作|一つひとつの工夫から生まれる住まい |野々市町注文住宅新築

今回完成した新しいお住まいにも、お客様と一緒に考えた様々な工夫があります。

お客様が今感じていること、少し不便に思っていること、そしてこれからどんな暮らしをしたいのか。

何度もお話を重ねながら、一緒に答えを探していきます。

吉村順三氏の楕円手摺

今回、特に大切にしたのが階段の手摺です。

お客様は足の具合から、階段の昇り降りに少しご負担を感じていらっしゃいました。

そこで、安全性を考えて両側に手摺を設置。

さらに、日常的によく使う内側の手摺には、私が尊敬する建築家・吉村順三氏が考案したとされる楕円形の手摺を採用しました。

一見すると普通の丸い手摺に見えるのですが、握ってみると微妙に楕円になっています。

このわずかな形の違いが、手のひらにとても自然になじみ、しっかりと握ることができます。

実は観田創建の事務所の階段にも同じ考え方の手摺を採用しています。

長年使っていますが、その形に気づかれた方はほとんどいません。

今回のお客様は、なんとお二人目。

こういう小さなところに気づいていただけるのも、とてもうれしいものです。毎日の「ちょっと便利」を一つずつ

もちろん、工夫は階段だけではありません。

キッチンの使いやすい位置に設けた吊戸棚やミーレの食洗機。

洗濯や掃除などにも便利な、底面がフラットなスロップシンク。

脱衣室には、空気を循環させながら照明としても使えるサーキュレーター付き照明を採用しました。

一つひとつは小さな工夫かもしれません。

しかし、その小さな工夫の積み重ねが、毎日のストレスを少しずつ減らし、何十年という暮らしの心地よさにつながっていくのだと思います。

住まいは、お客様との合作

私たちだけでは、この住まいはつくれません。

お客様から暮らし方を教えていただき、私たちがこれまで培ってきた経験や設計の知恵を重ね、職人さんが丁寧に形にしていく。

住まいづくりは、お客様と私たちとの合作です。

だからこそ、一軒一軒違っていていい。

むしろ、そのご家族にしか必要のない工夫がたくさんある住まいほど、暮らし始めてから「やっぱりこれがあって良かった」と感じていただけるのではないでしょうか。

そんな小さな工夫を、お客様と一緒に楽しみながら考えていくことも、私にとって住まいづくりの大きな楽しみの一つです。