2007.02.13
木は上手く使えば、生きた年数だけ木材料としても活きるとよく言います。
しかし、最近は生産性を優先し木を人口乾燥させるか、乾燥材を集成材にして使用することがほとんどです。
この人口乾燥が大きな問題の一つです。
現在、人口乾燥は蒸気、加熱型、高周波、赤外線、燻煙乾燥など様々な乾燥方法があります。
もちろんある程度の生産性や寸法安定性は現在の流通システムとコストを考えると避けては通れません。
しかし、木材は約70度以上の急速な加熱は木の細胞膜を破壊し、強度を低下させ腐敗菌や白蟻に犯されやすくします。
中には耐久性を考慮した人口乾燥方法もありますが、現在流通している多くはこの死に掛けた木材です。艶も出てきませんしポキッとすぐ折れてしまいます。
部分的な古材の利用と、若くて精力みなぎっている木とを上手く使い分けて建てるのは素晴らしいと思います。
しかし、細胞を破壊して殺してしまった木で全て出来た新築住宅は如何でしょうか
生産性第一主義ではなく、耐久性を重視しながら生産性を高め、それと同時に職人の技術と知恵の融合させることが一番だと思います。
写真上(特殊な人口乾燥) 低温で乾燥期間を通常の倍
写真下(一般的な人工乾燥)細胞の中の水分が急速に発散し細胞膜を破壊
2007.02.04
木は良い性質ばかりではありません。
腐る・狂う・燃える・変色(好き嫌いはあるが)
右の写真は、以前に築25年の建物のリフォームしたときの写真です。
土台も柱も腐敗菌と白蟻でボロボロでした。壁の中に雨水がわずかに浸透していたことと、通風が全くなかったことが原因です。
一方で、日本には世界最古で築1400年の木造建築である法隆寺がありますし、木造建築物は何百年も耐久性があることが立証されています。民家も100年、200年なんてざらにあります。
木の天敵である白蟻や腐敗菌は非常に生命力が弱く、一定の温度と湿度の中でしか生きることが出来ません。
少なくとも1400年前の大工は、そのメカニズムを理解して木材を知り尽くし、腐ることと狂うことを経験と技術で克服しています。
ところが、これだけ科学技術が発達した現代に、リフォームなどにお伺いすると20年ほどの家の木がなぜ腐っているのでしょうか? つづく
2007.01.31
何で日本の昔の家屋は木造なのでしょうか?
石やレンガ(焼き物)の技術が無かったからではありません。石垣や陶芸に見られるように非常に高い技術と文化を持っていました。
では、なぜ石造りや煉瓦などの家が残っていないのでしょうか。
それは日本の高温多湿である気候風土や様々な歴史的背景や環境が影響しているそうです。
確かに、木には調湿作用があり1本の杉の柱には湿気の多いときはビール瓶大瓶2.5本分、少ないときは2本分の水分が含まれ、0.5本分で吸ったりはいたりして部屋の中の湿度を50%前後に調湿します。まさに自然の調湿機です。
その他にも断熱効果、紫外線を吸収(目に優しい)、遮音性とまろやかな反響など、素晴らしい特質があります。
尚且つ、生まれたばかりのマウス130匹を木と金属とコンクリートの箱に入れる実験をした結果、23日後の生存率が
木:85% 金属:41% コンクリート:7%
だったそうです。やはり生き物には木の環境がよいそうです。
同時に忘れてならないのはくさる、くるう、燃えるという欠点もあります。 つづく
2007.01.29
2007.01.06
南野邸の桜のフローリングです。
厚みは15mm、巾は90mmです。
お客様がご自分でリボスカラーを4回ほど塗られました。
本当に素晴らしい仕上がりです。
杉、ヒバや檜のような針葉樹と違って、比較的硬くてキズがつき難い床板です。
杉などと違って、無垢材にしては表面温度が冷たいですが、合板のフローリングよりは暖かく、なんと言っても耐久性が抜群です。
合板のフローリングは住まいが完成したときが一番綺麗で、次の日から汚れていく一方です。
しかし、無垢のフローリングは完成時は特に自然塗料を塗ってもそんなに艶はないですが、時をおうごとに深い艶と味わいが出てきます。
先日、6年前に建てていただいたお客様の家に鍋パーティに呼ばれたのですが、本当に素晴らしい味わいが出てきており、嫁に出した娘をみる父親のような気持ちになってしましました。