2007.04.01

土蔵の倒壊 能登半島地震Vol.3

木造伝統構法でしっかり建ててある土蔵が倒壊していました。 

泥壁が完全に剥がれ落ちて構造材が剥き出しにで、住宅にのしかかっていました。
原因は構造材の腐りです。

能登ヒバの柱や通し貫が完全に腐っており、地面に近い部分は
完全に白蟻と腐敗に犯されて何もない状態です。

元々の耐震性が確保されていたのに、腐りによって倒壊しています。

腐りの原因は、土蔵の周りの間違った補修により、木材の耐久性にとって一番重要である通風を阻害されたことと思われます。
元々腰部は石積みでその上部は漆喰か板張りで通風が確保されていたものが、下部はコンクリートで固め上部は板金で(トタン)で覆ってあります。
木材、特に能登ヒバは非常に湿気に強く100年は耐久性がある材料ですし、構造の組み方も申し分のない仕事が台無しです。

木造住宅のリフォームや修繕は適切な知識のある工務店や住宅会社でおこなわないと、折角の丈夫な建物も台無しにしてしまいますので、細心の注意が必要です。

昨日は金沢市の2つの保育園の耐震診断をさせていただいた結果を報告にいっていきました。
昭和56年に耐震基準が強化され、それ以前の建築であった為残念ながら適合しておらず、耐震補強が必要となりました。
今年か来年には補強計画(設計)させていただき、補強工事をおこなう予定です。

耐震補強工事はまだ、公共性の高い建築物がメインですが、今回の地震で改めて20年以上前に建築された住宅の耐震補強工事の必要性を痛感しました。

2007.03.31

能登半島地震調査Vol.2

 門前町で在来工法の木造家屋倒壊の代表的なものです。

 1階部分の土台が基礎から浮き上がり1階と2階の境目が折れ曲がり
 それにより梁が外れて、1階部分が潰れています。

 原因として、基礎の上に土台が地震で浮き上がり、同時に階のつなぎ目が
 折れてしまっています。
 簡単な対策としては基礎を頑丈にして倒壊を防ぎ、同時に基礎と柱や土台を
 しっかりと固めることがです。

 コストが安く家の浮き上がりを防止する構法です。
 在来工法の耐震補強で採用されます。

 更に高度な構法は柱を基礎に固定し、その周りに土台を梁のように
 かけていく高床式構法などにみられる組み方です。

 簡単なものは門前の小学校で地震の影響がなかった相撲の土俵です。
 シンプルで非常に強い構法です。 
 スジカイがなくても地震の影響無しです。大きな特徴の一つは柱が固定
されていることです。ただ、長期的には木の柱がそのまま土の中に埋まっていますので腐りやすいのが問題です。

ボランティア活動では、本部に入った依頼の現調を行って人数や必要物資とその危険性などの状況を判断し、ボランティアを派遣してきました。
被害はテレビより深刻です。  仕事が忙しく難しいですが時間が許せばまた活動したいです。

2007.03.30

能登半島地震調査Vol.1

昨日に1日かけてボランティアと現地調査に行ってきました。

門前と輪島でしたが特に門前の被害が激しく予想外です。

テレビの画面とは住民の動揺や被害のすさまじさが全く違っており、同時に住民が助け合っている姿に感動しました。

門前のメイン通りはほとんどの家屋が全壊もしくは半壊、よくて傾いている状態で、行政の再利許可が降りないと生活が出来ない状態です。

また、上下水道が全く利用できずにほとんどの町民が避難しています。

写真は木造在来工法の住宅で、倒壊の代表的な原因である基礎から土台が浮き上がる事と1階と2階の境目で建物が折れ曲がってしまうことにより、梁もはずれて特に1階が倒壊してしまっています。

曹洞宗大本山総持寺祖院です。主だった被害がありません。
頭でっかちで1階は全くスジカイも何もありません。
木造伝統構法のお手本の建築です。

地震で倒壊した建築物を調査してきたので、プログで倒壊に至った原因をお知らせします。

2007.03.20

環境調査報告書

土地を探していたお客様の土地が決まりました。  今日は土地の重要事項説明に立ち会ってきました。

今お住まいのご近所で、かなり前より探していたのですが人気の場所でもあり、なかなか良い土地にめぐり合えませんでした。しかし、お客様の努力が実り、本当に良い条件の土地にめぐり合えたと思います。

一目で感じる時ってあるのですね 
この仕事をさせていただくと、不思議と「縁」を感じることが多々あります。
お客様との出会い・お客様と土地の出会い・良い職人との出会い…
縁は待っていても生まれず、自分でよい縁を創っている様な気がします。

たくさんの縁に恵まれるように、真直ぐに歩いていけると良いですね 

さて、これからが本当の我々の力の見せ所です。
どんな良い土地も悪い土地にも長所、短所があります。
土地の長所を活かし、短所をカバーするのが注文住宅の醍醐味です。

その為に土地が決まりましたら、環境調査報告書を作成します。
15ページに及ぶ報告書の中で、現地に通い土地を徹底的に調べます。
公的な制限はもちろんで、一番大事なのはその土地の自然を感じることです。設計に行き詰るとその場所に立ち、感じることで新たな発想が生まれます。
それが観田創建での注文住宅設計の始まりです。 

2007.03.17

木造伝統構法

 在来軸組工法とは戦後に、住宅を大量に低価格で提供する為に従来の
 手間隙がかかる伝統的な工法を簡略化するために生まれてきた建方です。

 ですから、スジカイや金物でしっかり補強しなければ地震で倒壊します。
 スジカイや金物の使用が建物の強度に重要です。

 木造伝統構法とは、木を高度にまた複雑に組み合わせることによって
 免震力と長期耐力を向上させて連続した空間を可能にします。
それによって日本の高温多湿な気候の中でも住みやすく、そして豊かな自然の恩恵を住環境に取り入れて、家族の健康と情緒や感性や知性を育むことが出来る環境を創造できます。まさに先人が残した素晴らしい文化です。

高度すぎて機械での加工は難しく職人の手間隙がかかりますし、技術と根気をもった大工を確保することが難しくなってしまいました。

注文住宅に100年以上の長期耐久性や自然の恩恵を住環境に取り入れて豊かな生活を求めている人には、自信をもっておすすめできる構法です。